今年75歳になる僕の両親は、社員が両親2人のみの超零細企業を経営していますが、最近「疲れた、もう会社をたたみたい」と言うようになりました。
M&Aなども検討、相談したみたいですが具体的な話にはならず、おまけに事業資金の借り入れを返済をする資金もないまま、今でも老体に鞭打って働いている状況です。
ここは長男である僕が親孝行をするべきタイミングなのかな、と考えるようになり、今まで務めた不動産会社を退職し、畑違いの業界へ飛び込みました。
ですが、今まではサラリーマンだった僕は事業承継のことを何も知らないため、先日、初めて商工会議所の「事業承継・引継ぎ支援センター」というところへ事業承継について相談に行きました。
これから事業承継について色々学んでいくことがあると思いますので、このブログに記録していこうと思います。
事業承継とは
「事業承継」とは、「現経営者から後継者へ事業のバトンタッチを行うこと」、つまり、「企業(現経営者)の熱い思いや技術を次の世代へつなぐこと」です。
「事業承継=相続税対策」と考えられがちですが、相続税対策は事業承継の取り組みの中の一部にすぎず、事業承継の中で最も需要なことは「目に見えにくい資産=知的資産」の承継です。
「事業承継」は、単に経営者が交代するだけではありません。承継後も事業を継続的に発展させていくために、企業(現経営者)がこれまで培ってきたさまざまな財産(人・物・金・知的資産)を上手に引き継いでいくことが重要となります。
知的資産とは
「知的資産」とは、経営理念や経営者の信用、取引先との人脈、従業員の技術・ノウハウ、顧客情報、許認可、知的財産権など、企業における競争力の源泉でありながらも貸借対照表には出てこない、目に見えにくい経営資源のことです。
事業承継後も今までの業績を維持していくためには、この「知的資産」も上手に引き継ぐことが必要不可欠ですが、中小企業白書の資料でも、経営者が事業を引き継ぐ際に苦労した点として「取引先との関係維持」の事項が比較的高い割合を占める傾向が確認できます。
この目に見えにくいですが企業の強みの源泉となる「知的資産」を承継するには、現経営者と後継者が対話により共同で「知的資産の棚卸し」に取り組み、自社の強み、弱みを把握する必要があります。
そのためには知的資産の「見える化」により現経営者と後継者間で認識を共有することが重要であり、この過程を通じて経営理念や仕事へのこだわりといった「事業の承継」がなされます。
老舗企業も知的資産を重要視している
「老舗企業」というと、歴史や伝統といった印象が思い浮かぶ方も多いと思いますが、「老舗」とは、「仕える」「似せる」という言葉が連なる「仕似す」という動詞に由来する言葉だと言われています。
それまでお店を守ってきた人に「仕える」ことで、まずは仕事の手順を覚える。そして、仕事のやり方を「似せて」いくことで、先人たちが大切にしてきた仕事の在り方を会得する。そうして「先祖代々の家業を絶やさず続ける」ことで、「長い商売で信用を得て資産を築く」といった意味があるそうです。
「老舗企業」に対する厳密な定義はありませんが、老舗企業研究の大半が、創業・設立から100年以上経過した企業を「老舗企業」と扱うことが多いようです。
帝国データバンクの調査によると、老舗企業に聞いたアンケートにおいて、下記のような結果があるようです。
老舗企業の強みは何か
1位「信用」
2位「伝統」
3位「知名度」
重要視しているキーワードを漢字一字で表現
1位「信」
2位「誠」
3位「継」
今後生き残っていくために何が必要か
1位「信頼の維持」
2位「進取の気性」
3位「品質の向上」
この結果からも老舗企業の多くは「顧客から信用、信頼されること、そして次の代に事業を継承すること」が重要だと考えていることが分かります。
まとめ
「事業承継」とは、「現経営者から後継者へ事業のバトンタッチを行うこと」、つまり、「企業(現経営者)の熱い思いや技術を次の世代へつなぐこと」です。単に経営者が交代するだけではなく、「目に見えにくい資産=知的資産」を上手に承継することが重要です。
「老舗」とは「先祖代々の家業を絶やさず続ける」ことで、「長い商売で信用を得て資産を築く」といった意味があるそうですが、「老舗企業」の多くも「顧客から信用、信頼されること、そして次の代に事業を継承すること」が重要だと考えています。
この目に見えにくいですが企業の強みの源泉となる「知的資産」を承継するためには、現経営者と後継者が対話により共同で「知的資産の棚卸し」に取り組み、自社の強み、弱みを把握することが重要です。
「知的資産」の「見える化」により現経営者と後継者間で認識を共有することで、経営理念や仕事へのこだわりといった「事業の承継」がなされるわけです。
僕の両親が経営する会社も祖父による創業から69年目。「老舗企業」の仲間入りを目指して、両親からしっかり「知的資産」を承継したいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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