AD

「埋蔵文化財包蔵地内」にある物件を売却する方法5選

不動産売却
記事内に広告が含まれています。

親が亡くなり実家を相続したけど、住まないので売却したい。そう思いたって不動産屋さんに家の売却を依頼したけど、なかなか売れない!

そんなお悩みを持つ方へ・・・その家の周辺には遺跡がありませんか?

「埋蔵文化財包蔵地内」にある物件を売却することは条件によって難しい可能性もありますので、「不動産買取再販専門会社」で働いていた「不動産の買取と販売」のプロである僕が、

  • 埋蔵文化財包蔵地とは
  • 埋蔵文化財包蔵地の調べ方
  • 埋蔵文化財包蔵地内にある物件の3つのデメリット
  • 契約不適合責任のリスク
  • 埋蔵文化財包蔵地内にある物件を売却する方法5選

を、不動産買取専門業者目線で解説します!

これを読めば、なかなか売れない埋蔵文化財包蔵地内の物件でも、売却する出口が見つかります。

埋蔵文化財包蔵地とは

土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日前」とあるのは、「六十日前」と読み替えるものとする。

文化財保護法第93条

「埋蔵文化財包蔵地」とは、地下に何らかの遺跡が存在する、または存在している可能性がある土地のことです。

文化財が埋まっていることが知られている土地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」と言います。

文化庁のホームページによると、全国には「周知の埋蔵文化財包蔵地」が約46万か所もあり、毎年約9,000件程度発掘調査が行われているそうです。

埋蔵文化財包蔵地の調べ方

埋蔵文化財包蔵地を調べるには、物件が存する地域の市役所など自治体の教育委員会または文化財課(行政により名称は異なります)の窓口にて照会するのが最も確実な方法です。

窓口で「遺跡台帳」や「遺跡地図」などを確認し、物件が埋蔵文化財包蔵地内に位置しているかどうか確認することができます。

それ以外にも、自治体が埋蔵文化財包蔵地の位置をホームページで公開している場合もあります。

福岡市のHPより

埋蔵文化財包蔵地内にある物件の3つのデメリット

発掘調査の費用負担が必要になる場合がある

周知埋蔵文化財包蔵地内で建物を建てる際は、事前に発掘調査を行って遺跡の記録を残す必要があり、その発掘調査費用については、個人が営利目的ではなく住宅建設を行う場合などは公費により補助される例外もありますが、原則として建築行為を行う者が負担する必要があります。

つまり、個人がアパートなどの収益物件や事務所兼用住宅などを建てる場合や、不動産会社などの事業者が住宅を建てる場合などは、発掘調査費用を自分で負担することになります。

発掘調査費用は土地が存する自治体、土地の面積、埋蔵されている文化財の種類などにより異なりますが、数百万円もの費用が必要になることが多いようです。

このように買主にとって負担が生じる可能性があるため、個人が住宅を建てる場合以外では、発掘調査費用にかかる費用を減額されたり、売買契約書に「発掘調査が必要と判明した場合は契約が白紙解除となる特約」を入れられる可能性があります。

手続きや調査に時間がかかり、工事着工が遅れる可能性がある

手続きの流れ

埋蔵文化財包蔵地内で建物を建てる際は、福岡市の場合を例にすると、下記のような手順を踏む必要があります。審査結果がわかるまでは、買主は工事着工をすることができないため、数ヶ月~1年以上、工事着工が遅れる可能性があります。また、審査結果次第では買主が購入を敬遠する可能性も考えられます。

  1. 工事着工の60日前までに、市役所埋蔵文化財課へ照会と届出を行います。その際、工事計画図面もあわせて提出します。
  2. 工事計画図面をもとにどの程度土地を掘削するのかを確認し、埋蔵文化財が存在すると想定される範囲との関係を審査されます。
  3. 「慎重工事」「工事立会」「要試掘」の3パターンいずれかの審査結果が出ます。
  4. 「要試掘」と判断された場合は試掘調査を行い、その試掘調査の結果で「慎重工事」「工事立会」「発掘調査」の3パターンいずれかの審査結果が出ます。
  5. 「発掘調査」と判断された場合、市役所埋蔵文化財課と協議のうえ、発掘調査が実施されます。
審査(試掘調査)結果が「慎重工事」の場合

工事計画の変更は必要なく、工事着工可能です。慎重に工事を実施すれば大丈夫です。買主にとっては特に不利益がない審査結果です。

審査(試掘調査)結果が「工事立会」の場合

工事が埋蔵文化財に影響がないか確認するために、市役所の職員が工事に立ち会うことになります。

工事着工は可能ですが、市の担当職員と日程や時間帯について調整が必要となります。そのため、買主の希望通りには工事着工ができない可能性があり、買主には多少のリスクが発生します。

審査結果が「要試掘」の場合

埋蔵文化財の有無や深さを確認するために、敷地の一部を重機で掘り下げて、試掘調査を実施することになります。

試掘調査は更地の状態で実施しますので、あらかじめ建物は解体撤去し、樹木や埋設物などの障害物も撤去しなければなりません。また、アスファルトやコンクリートで舗装されている場合も同様に、事前に撤去しなければなりません。

また、試掘調査にあたり重機を使用するため、近隣住民へ事前に騒音についての周知を行う必要があり、試掘調査当日は掘り下げ開始から埋め戻し完了まで現場にて立会う必要がありますので、撤去費用に加え手間と時間もかかります。

買主が購入後自分でそれらの手続きを行うとなると、買主にとって購入を検討するハードルはかなり高いと言えます。

試掘調査結果が「発掘調査」の場合

発掘調査が実施され、埋蔵文化財の記録保存等を行う場合があります。発掘調査に要する期間は土地の面積、埋蔵されている文化財の種類などにより異なりますが、数ヶ月~1年以上はかかるようです。

その間、当然ながら買主は工事着工することができません。さらに、数百万円の発掘調査費用を自分で負担しなければならない場合もあり、買主にとって購入を検討するハードルは相当高いと言えます。

予定した建物が建てられない場合がある

発掘調査をした結果、工事の計画変更の協議が必要となり、建築が制限され予定した建物が建てられない可能性があります。例えば地盤改良を禁止されてしまうと、場合によっては建物を建てることができない可能性もあり、買主にとってはかなり不利益になるケースも考えられます。

数ヶ月~1年以上の時間をかけて発掘調査まで行ったのに、最終的に建物が建てられないと判断される可能性があるとしたら、買主にとって購入を検討するリスクが相当高いと言えます。

契約不適合責任のリスク

一般の方が買い手の場合、特約がない限り売主は「契約不適合責任」を負うというリスクもあります。

「契約不適合責任」とは、売買の目的物に「契約内容に適合していない部分」がある場合に、売主に課される法的責任のことです。

地中に文化財が埋まっていることは土地の「物理的瑕疵」に、文化財保護法により受ける建築制限は「法的瑕疵」に該当し、プロがしっかり調査・説明しないと買主には分からない可能性があるため、売主から買主に対して「告知義務」があります。

さらに中古戸建の場合は、建物の築年数が古くなるほど雨漏りやシロアリの被害などの「物理的瑕疵」がある可能性も高くなります。

当然ながら、売買契約前に買主がそれらの瑕疵を自力で発見することは難しいため、買主が保護されないようではリスクが高く、安心して売買ができません。

そこで買主を保護するために、「契約不適合責任」が民法に定められており、「物理的瑕疵」「法的瑕疵」に該当する部分について売主が買主に告知せずに売却した場合、「契約不適合責任」を問われ、契約の解除や損害賠償請求、代金減額請求などを受けることになります。

埋蔵文化財包蔵地内にある物件を売却する方法5選

試掘調査や発掘調査済みの物件であることを説明し売却する

自治体の教育委員会または文化財課(行政により名称は異なります)の窓口にて、ご自身の物件について試掘調査や発掘調査の履歴を確認したり、建築指導課(行政により名称は異なります)で今建っている建物が建てられた時の制限などを確認してみましょう。

過去に試掘調査や発掘調査を実施している物件だと分かれば、今建っている建物と同じ規模、同じ構造の建物であれば、新たに試掘調査や発掘調査を行わなくても済む可能性がありますので、その旨を説明のうえ、納得して頂ける買主を探して売却するという方法があります。

ただし今建っている建物が古い場合、自治体に新築時の資料が保管されていないケースや、新たに建てる建物の構造によっては再調査が必要となるケース、自治体によっては建築の都度新たに照会が必要となるケースなどもありますので、注意が必要です。

自身で試掘調査や発掘調査をしたうえで売却する

売主が自分で試掘調査、発掘調査を行い、建築に制限を受けない土地であることを先に判明させておけば、スムーズに買主が見つかる可能性があります。ただし発掘調査には数百万円の費用がかかる可能性があります。

また、試掘調査や発掘調査を行う際には土地を更地にしておく必要があるため、現在建物が建っている土地であれば建物を解体する必要がありますが、もちろん解体工事には相当の費用がかかります。

解体工事業者に相談する際は、1社だけでなく数社に見積もりを取ることをオススメします。

建築できなくても気にしない買主に売却する

建物を建てる予定がなく、例えば駐車場用地など土地として購入したいという買主や、建物を建て直さずリフォームして住み続けるという買主などを見つけることができれば、売却は可能です。

ただしニーズが狭まるため、大幅な値下げが必要となるリスクや、物件の立地条件次第では買主が見つからないというリスクも覚悟しておくべきでしょう。

建物をリフォームして売却する

現在建っている建物を売主がリフォームして、あと数十年は建替えをせずとも住み続けられるような物件に仕上げれば、購入したいという買主を見つけることができるかもしれません。

ただし建物のリフォームには数百万という費用を要しますが、リフォームしたからといって文化財保護法の制限自体は無くなるわけではありませんので、販売価格にリフォーム費用を必ずしも上乗せできるわけではない、というリスクも覚悟しておくべきでしょう。

リフォーム業者に相談する際は、数社のプランと見積もりを比較検討することをオススメします。

不動産買取専門業者に売却する

一般のお客様の中から買い手を探すとなると、前述したように発掘調査費用がかかるリスクがあり、調査の結果次第では建築自体ができなくなる可能性があるため、長期間に渡り買い手が見つからないことも珍しくありません。

運よく、それらのリスクを納得した買主に売却できた場合でも、不動産仲介業者へ売却を依頼した場合には、成約時に仲介手数料が発生します。

仲介手数料は法律により計算式が決まっており、物件の売買価格によって変動しますが、数十万円~数百万円と高額になります。

売主にとって「解体工事や発掘調査に費用がかかり、売却に時間がかかり、成約時に仲介手数料がかかり、売却後も契約不適合責任を負う」というリスクも、不動産買取専門業者に家を直接買い取ってもらえば排除できます。

しかも短期間で売却できるうえに仲介手数料もかからず、不動産のプロが直接買取をするため、売買契約に前述した売主の「契約不適合責任」が免責となる特約が入る場合もあり、売主にとって安心です。

不動産の売却で「買取」を選択するべきケースついては、別記事にて詳しく説明しています。

→不動産の売却で「買取」をオススメするケース4選

まとめ

「埋蔵文化財包蔵地」とは、地下に何らかの遺跡が存在する、または存在している可能性がある土地のことをいい、文化財が埋まっていることが知られている土地は「周知の埋蔵文化財包蔵地」と言います。

自治体の教育委員会または文化財課(行政により名称は異なります)の窓口にて照会した結果、物件が埋蔵文化財包蔵地内に位置していると判明した場合、次の3つのデメリットが考えられるため、買主に敬遠される可能性が出てきます。

  • 発掘調査の費用負担が必要になる場合がある
  • 手続きや調査に時間がかかり、工事着工が遅れる可能性がある
  • 予定した建物が建てられない場合がある

そんな「埋蔵文化財包蔵地内」にある物件を売却する方法は5つ考えられます。

  • 試掘調査や発掘調査済みの物件であることを説明し売却する
  • 自身で試掘調査や発掘調査をしたうえで売却する
  • 建築できなくても気にしない買主に売却する
  • 建物をリフォームして売却する
  • 不動産買取専門業者に売却する

最後に、不動産買取専門業者に直接売却する場合のメリットは4つあります。

  • 埋蔵文化財包蔵地内でも検討可能
  • 仲介手数料が不要
  • 売却までの期間が短い
  • 契約不適合責任が免責となる場合がある

「埋蔵文化財包蔵地内」にある物件は仮に売却することができたとしても、相場より安い価格でしか売却できない可能性がありますが、売却する際の様々な手間や負担、リスクを考えたときに、不動産買取専門業者に売却をすることが最も良い結果につながる可能性があります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました