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「違反建築物件」を売却する方法4選

不動産売却
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親が亡くなり実家を相続したけど、住まないので売却したい。そう思いたって不動産屋さんに家の売却を依頼したけど、なかなか売れない!

そんなお悩みを持つ方へ・・・その家は法律に則って建てられていますか?

「違反建築物件」ではありませんか?

「違反建築物件」を売却することは条件によって難しい可能性もありますので、「不動産買取再販専門会社」で約19年働いた「不動産の買取と販売」のプロである僕が、

  • 違反建築物件となる5つの条件
  • 既存不適格物件とは何か
  • 違反建築物件、既存不適格物件の3つのデメリット
  • 契約不適合責任のリスク
  • 違反建築物件、既存不適格物件を売却する方法4選

を、不動産買取専門業者目線で解説します!

これを読めば、なかなか売れない違反建築物件でも、売却する出口が見つかります。

違反建築物件となる5つの条件

「違反建築物件」とは読んで字のごとく、法律(条令)に違反している物件のことです。

日本の住宅は「建築基準法」「都市計画法」という法律や、各自治体の「条例」に従って建てられています。

それらの法律や条例が施行される前に建てられた家や、一部増築がされている家などは、現在施行されている法律・条例の定めに違反している「違反建築物件」の可能性があり、主に5つのケースが考えられます。

建築確認申請に違反している

住宅を新築するときや10㎡を超えるような増改築をする場合は、基本的に確認検査機関もしくは特定行政庁に必要書類を添えて申請し、建築基準法や条例に適合しているか確認を受ける必要があります。

これを「建築確認申請」といいます。

「建築確認申請」は建築主の義務であるため、例えば10㎡以上の増築を行う場合に申請を怠ると法律違反になります。

それ以外にも、某大手アパート建設会社の問題のように、建築確認では延焼を防ぐための界壁を小屋裏まで設置するとしていながら、実際は界壁を設置していなかった場合などのように、「建築確認申請」と異なる建物を建築した場合も当然、法律違反となります。

建ぺい率、容積率をオーバーしている

まず、「建ぺい率」とは、敷地面積に対する「建築面積」の割合の制限です。つまり、建物を上から見たときに、その土地の何割まで建物が占めてよいかという数値です。

例えば、50坪の土地で建ぺい率が60%の地域の場合、最大30坪(50坪×60%)の建築面積の建物を建てることができます。

続いて、「容積率」とは、敷地面積に対する「延べ床面積」の割合の制限です。延べ床面積とは、建物のすべての階層の床面積を足した面積のことをいいます。

例えば、50坪の土地で容積率が200%の地域の場合、最大100坪(50坪×200%)の延べ床面積の建物(1階40坪、2階30坪、3階30坪のような)を建てることができます。

建ぺい率オーバー、容積率オーバーとは、建築確認申請を怠った増築などの理由により、その地域に定められたそれらの数値を超えて、建物が建てられていることをいいます。

上記の例えに当てはめると、建築面積が30坪を超えていれば建ぺい率オーバーとなり、延べ床面積が100坪を超えていれば容積率オーバーとなります。

外壁後退制限や高さ制限に抵触している

外壁後退とは、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域や田園住居地域において、建物の外壁と隣地境界線までの距離を、一定の数値離さなければならないという制限です。

地区計画や建築協定、風致地区などで後退距離を定めている場合もあります。

例えば外壁後退1.0mの制限がある地域で、建物と隣地境界線からの離れを測ってみると、80cmしかなかった場合は、外壁後退制限に抵触している違反建築物件となります。

また、建築基準法では用途地域によって建築物の高さが制限されていますが、例えば絶対高さ制限10mの地域内に10mを超える高さの建物を建てた場合は、当然、違反建築物となります。

接道義務を満たしていない

建築基準法では、「建築物の敷地は(幅員4m以上の)道路に2m以上接しなければならない。」と定められています。

この接道条件を満たさない土地は、災害時などに消防車や救急車などの緊急車両が通行できず、特に火災時などは鎮火が遅れ周辺住居に燃え広がるおそれがあるなど、被害拡大につながる危険性があります。

そういう危険な建物を減らすために、法律で接道条件を満たさない土地への建築を認めないようにしているのです。

前面道路が建築基準法に定める道路ではない場合や、土地が道路に接する間口が2mを切る場合、その土地上に建っている建物は違反建築となる可能性があります。

農地転用許可申請をしていない

市街化調整区域の場合など、地目が田や畑などの農地となっていて、その土地上に住宅が建てられているケースが稀に見受けられます。

農地に建物を建てる場合は、事前に農業委員会へ「農地転用許可申請」(市街化区域の場合は届出)が必要です。農地転用の許可が下りて初めて建築が可能となります。

そして建物が完成したら農業委員会へ「現況証明願」を提出し、さらに法務局へ「地目変更登記」を申請する必要があります。

これらの手続きを行わず建物を建てた場合、原状回復義務により建物を取り壊し、農地に戻す命令を受ける可能性があるだけでなく、農地法の罰則や懲役が科せられる可能性もあります。

既存不適格物件とは何か

ただし、法令などに適合しない物件がすべて違法建築というわけではなく、違反建築物件と似たもので「既存不適格物件」があります。

「既存不適格物件」とは、建物の建築時には適法だったものの、その後の建築基準法やその他の法令、条例の改正を受けて不適法になってしまった建築物のことをいいます。

例えば、新築または増築時に、

  • 建築確認申請が不要だったので、建築確認を受けていない
  • 現在より建ぺい率、容積率の制限が緩かった
  • 外壁後退制限や高さ制限がなかった、または制限が緩かった
  • 建築基準法が施行される前から存在する道路に面していた

などの条件のものが「既存不適格物件」に該当します。

違反建築物件、既存不適格物件の3つのデメリット

強制的な是正命令が下される

特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)

建築基準法第9条には、違反建築物に対する措置が明記されています。

建築中はもちろんのこと、完成済みの違反建築物件に対しても、特定行政庁は除去や移転、改築、修繕、使用禁止などの措置を命じることができるため、違反建築物の所有者は直ちに建物を現行の法令や条例に適合させる必要があります。

ただし、既存不適格物件に対しては、建築当時は適法に建築されているため、大規模な増改築や修繕、用途変更を行う場合を除き、直ちに現行の法令や条例に適合させる必要はありません。

住宅ローンが利用できない

違反建築物件については、ほとんどの場合、購入時に住宅ローンを利用できません。

そのため、一般の買い手はおそらく購入の検討は難しいでしょうし、僕のような不動産買取業者も「違反建築物件でも買取してもらえるか?」との問い合わせをよく頂きますが、住宅ローンが利用できないことが主な理由で、「原則として違反建築物件は買取できません。」とお答えしていています。

ただし、既存不適格物件については、場合によっては住宅ローンを利用できる可能性があります。

建て替えや増改築の条件が厳しくなる

違反建築物件や既存不適格物件を建て替える場合、法令に違反している部分については、現行の法令や条例に適合するよう建築する必要があるため、既存の建物よりも面積が小さくなる、高さが低くなるなどの可能性があります。

また、既存建物の違反部分を是正しない限り、増改築については許可が下りない可能性があります。

契約不適合責任のリスク

一般の方が買い手の場合、特約がない限り売主は「契約不適合責任」を負うというリスクもあります。

「契約不適合責任」とは、売買の目的物に「契約内容に適合していない部分」がある場合に、売主に課される法的責任のことです。

違反建築物件や既存不適格物件は「法的瑕疵」に該当します。さらに中古戸建の場合は建物の築年数が古くなるほど雨漏りやシロアリの被害などの「物理的瑕疵」がある可能性も高くなります。

これらの瑕疵はプロがしっかり調査・説明しないと買主には分からない可能性があるため、買主がまったく保護されないようではリスクが高く、安心して売買ができません。

そこで買主を保護するために、「契約不適合責任」が民法に定められており、法的瑕疵がある物件であることを買主へ告知せず売却した場合は、「契約不適合責任」を問われ、契約の解除や追完請求、代金減額請求などを受けることになります。

なお、既存不適格物件は築年数が古い物件であるケースも多く、その場合雨漏りやシロアリの被害にあっている可能性が高くなるため、売主にとってもリスクが高いといえます。

シロアリ被害、雨漏り被害のリスクについては、別記事にて詳しく説明しています。

→「シロアリ被害がある家」を売却する方法4選

→「雨漏り被害がある家」を売却する方法4選

違反建築物件、既存不適格物件を売却する方法4選

現行の法令や条例に適合させる

違反建築物件や既存不適格物件が違反している部分を是正し、現行の法令や条例に適合させれば、普通の不動産として売却可能です。

ただし、違反部分の是正をするためには建築物の修繕や一部解体など、相当の費用がかかることが予想されます。

違反建築物であることを気にしない買主を見つける

住宅ローンを利用しない現金購入の方で、かつ、違反建築物に対して、除去や移転、改築、修繕、使用禁止などの是正命令があっても構わない、という買主を見つけることができれば、売却できるかもしれません。

ただし需要の少なさ故に、大幅な値下げが必要となるリスクや、そもそも買主が見つからないというリスクは覚悟しておくべきでしょう。

建物を解体して更地で売却する

違反している建物を解体してしまい、更地にして販売するということも、ひとつの方法です。

もちろん解体工事には相当の費用がかかりますが、違反の内容によっては、「現行法令に適合するよう是正するよりも、解体した方が費用が抑えられる」という可能性があります。

なお、解体工事業者に相談する際は、1社だけでなく数社に見積もりを取ることをオススメします。

建物を解体してしまえば、契約不適合責任の対象となる建物が存在しないため、売主にとっても安心です。ただし注意点として、土地についての契約不適合責任まで無くなるわけではありません。

また、再建築不可物件の場合、既存の建物を解体してしまうと建て直しができなくなります。建物を解体する場合は、よく検討してから依頼することをオススメします。

再建築不可物件については、別記事にて詳しく説明しています。

→「再建築不可物件」を売却する方法4選

不動産買取専門業者に売却する

一般のお客様の中から買い手を探すとなると、前述したように是正命令を受けるリスクがあり、住宅ローンも利用できないため、長期間に渡り買い手が見つからないことも珍しくありません。

運よく是正命令リスクを気にしない現金購入客に売却できた場合、または現行の法令などに適合するように是正工事をして売却した場合でも、不動産仲介業者へ売却を依頼した場合には、成約時に仲介手数料が発生します。

仲介手数料は法律により計算式が決まっており、物件の売買価格によって変動しますが、数十万円~数百万円と高額になります。

売主にとって「売却に時間がかかり、または現行の法令などに適合させるための手間と費用と時間がかかり、成約時に仲介手数料がかかり、売却後も契約不適合責任を負」というリスクも、不動産買取専門業者に家を直接買い取ってもらえば排除できます。

しかも短期間で売却できるうえに仲介手数料もかからず、不動産のプロが直接買取をするため、売買契約に前述した売主の「契約不適合責任」が免責となる特約が入る場合もあり、売主にとって安心です。

不動産の売却で「買取」を選択するべきケースついては、別記事にて詳しく説明しています。

→不動産の売却で「買取」をオススメするケース4選

まとめ

現行の法令や条例などに違反して建てられている物件のことを、「違反建築物」といいます。

  • 建築確認申請に違反している
  • 建ぺい率、容積率をオーバーしている
  • 外壁後退制限や高さ制限に抵触している
  • 接道義務を満たしていない
  • 農地転用許可申請をしていない

なお、違反建築物件と似たもので「既存不適格物件」があります。

  • 建築確認申請が不要だったので、建築確認を受けていない
  • 現在より建ぺい率、容積率の制限が緩かった
  • 外壁後退制限や高さ制限がなかった、または制限が緩かった
  • 建築基準法が施行される前から存在する道路に面していた

また、違反建築物件、既存不適格物件のデメリットは主に3つです。

  • 強制的な是正命令が下される
  • 住宅ローンが利用できない
  • 建て替えや増改築の条件が厳しくなる

そして、違反建築物件、既存不適格物件を売却する方法は4つ考えられます。

  • 現行の法令や条例に適合させる → 違反部分是正のための費用が発生します。
  • 違反建築物を気にしない買主を見つける → 大幅な値下げを要する可能性があります。
  • 解体して更地で販売する → 建物解体工事費用が必要となります。
  • 不動産買取専門業者に売却する

最後に、不動産買取専門業者に直接売却する場合のメリットは4つあります。

  • 是正措置が不要
  • 仲介手数料が不要
  • 売却までの期間が短い
  • 契約不適合責任が免責となる場合がある

違反建築物件は仮に売却することができたとしても、相場より安い価格でしか売却できない可能性がありますが、売却する際の様々な手間や負担、リスクを考えたときに、不動産買取専門業者に売却をすることが最も良い結果につながる可能性があります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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