親が亡くなり実家を相続したけど、住まないので売却したい・・・。
そう思いたって不動産屋さんに家の売却を依頼したいけど、「仲介」と「買取」のどちらを選べばいいの?
そんなお悩みを持つ方へ・・・「不動産買取再販専門会社」で約19年働いた「不動産の買取と販売」のプロである僕が、
- 不動産の「仲介」と「買取」の違い
- 不動産の「買取」の4つのメリット
- 不動産の「買取」の3つのデメリット
- 不動産の「買取」をオススメするケース4選
を、不動産買取専門業者目線で解説します!
不動産の売却には、売主の都合や物件の状態次第で仲介をお勧めする場合と買取をお勧めする場合があります。
この記事を読めば、どんな不動産を売却する際に買取を選択するべきかが分かります。
不動産の「仲介」と「買取」の違い
不動産を売却するにあたり、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。
仲介
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立つ「仲介役」となって不動産を売買する方法で、主に一般の個人が購入することが多い売買形態です。
「媒介」ともいい、次の3種類のいずれかの「媒介契約」を結んで仲介を依頼することになります。
いずれの媒介契約の場合も自己発見取引以外で取引が成立した場合は、成功報酬として不動産会社へ支払う仲介手数料が必要です。
売買価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限額は売買価格の3%+6万円+消費税となります。
一般媒介契約
「一般媒介契約」は、売主が複数の不動産会社へ仲介を依頼でき、自分で見つけた買主と直接取引ができる「自己発見取引」も可能であるため、売主の自由度が高い媒介契約です。
その反面、不動産会社から売主への進捗報告も任意、さらに不動産業者が利用する物件情報交換システムである「レインズ」への登録も任意であり、不動産会社の義務も緩めです。
立地が良い、築年数が浅いなど比較的売りやすい物件であれば、不動産会社間の競争原理が働き早期売却も見込めますが、逆に売りづらい物件の場合だと、売却活動を真剣に取り組んでくれる不動産会社に出会えないリスクもあります。
専任媒介契約
「専任媒介契約」は、売主が自分で見つけた買主と直接取引ができる「自己発見取引」も可能ですが、不動産会社へ仲介の依頼は1社のみに限定される媒介契約です。
契約期間は最長3ヶ月、売主への売却活動の業務報告は2週間に1回以上、レインズへの情報登録は媒介契約を結んだ翌日から7営業日以内と義務付けられています。
一般媒介契約に比べると不動産会社の売却活動に対する責任が重く、活動状況の報告義務もあるため、売主は売却活動の状況を定期的に把握しやすく、積極的に売却活動を行ってもらえる可能性も高くなります。
専属専任媒介契約
「専属専任媒介契約」は、不動産会社へ仲介の依頼は1社のみに限定され、「自己発見取引」もできず、必ず専属専任媒介契約を結んだ不動産会社を通して取引を行う媒介契約です。
契約期間は最長3ヶ月、売主への売却活動の業務報告は1週間に1回以上、レインズへの情報登録は媒介契約を結んだ翌日から5営業日以内と義務付けられています。
不動産会社は自己発見取引の心配がなく、成約した際には必ず仲介手数料が入るため、専任媒介契約よりもさらに積極的に売却活動を行ってもらえる可能性が高くなります。
比較表
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
自己発見取引 | できる | できる | できない |
同時に依頼できる会社数 | 制限なし | 1社のみ | 1社のみ |
売主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | なし | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
売主の自由度 | ◎ | ○ | △ |
不動産会社の積極度 | △ | ○ | ◎ |
買取
「買取」は一般の個人ではなく、不動産会社が直接その物件を買い取ることになります。
早く確実に売却ができ、かつ、仲介手数料の支払いが不要であるなど、様々なメリットがあります。
買取のメリット、デメリットを詳しく解説していきます。
不動産の「買取」の4つのメリット
早く確実に売却ができ、現金化しやすい
不動産の買取の一番のメリットは、「早く」「確実に」売却できるという点です。
買主が不動産業者なので、その不動産業者が査定した価格に売主が納得すれば、その時点で売買契約締結が可能となります。
「不動産業者の査定→媒介契約の締結→広告開始、募集→お客様を現地へ案内→住宅ローン審査→売買契約締結」という行程が必要となる仲介と比べると、圧倒的なスピード感があります。
仲介だと売却まで3ヶ月~6ヶ月程度要することも珍しくありませんが、買取の場合、1ヶ月もあれば現金化できてしまいます。条件さえ整えば、数日で現金化できるケースもあります。
しかも買主が不動産業者、いわゆる「プロ」であるため、「住宅ローン審査が通らない」などという心配がなく、購入の「キャンセル」をされる可能性が低くなります。
契約不適合責任が免責となる
「契約不適合責任」とは、売買の目的物に「契約内容に適合していない部分」がある場合に、売主に課される法的責任のことです。
仲介で不動産を売却した場合、一般の方が買主となるケースが多いため、特約がない限り売主は契約不適合責任を負うというリスクがあります。
「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」などの告知事項については、もともとそこに住んでいた人しか知り得ない瑕疵や、プロがしっかり調査・説明しないと買主では発見できない瑕疵である可能性があり、買主がまったく保護されないようではリスクが高く、安心して売買ができません。
そこで買主を保護するために、契約不適合責任が民法に定められており、売主から買主に対して「告知義務」があります。
告知事項がある物件の売却については、別記事にて詳しく説明しています。
告知事項を売主が買主に説明せず売却した場合は、契約不適合責任を問われ、契約の解除や追完請求、代金減額請求、損害賠償請求などを受けることになります。
「買取」の場合は買主がプロである不動産業者となりますので、売買契約に売主の契約不適合責任が免責となる特約が入る場合もあり、売主にとって安心です。
仲介手数料がかからない
仲介の場合、前述したように成功報酬として不動産会社へ支払う仲介手数料が必要です。売買価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限額は売買価格の3%+6万円+消費税となります。
例えば、不動産を1,000万円で売却した場合、1,000万円×3%+6万円+消費税=396,000円です。
これが仲介の場合の不動産会社の利益となりますが、買取の場合、この仲介手数料が不要です。
なぜなら、買取の不動産会社は、買い取った不動産をリフォームして販売したり、建物を解体して更地で販売したり、新築戸建を建てて販売したり、または賃貸に出したりと、あらゆる方法でその不動産から新たな利益を生むからです。
近所に知られることなく売却ができる
買取の場合、基本的には不動産会社が1度現地を査定に来るだけでよく、その後は広告がされることもなく、別途誰かを物件へ案内する必要もありません。
その反面、仲介の場合はチラシやインターネット上に物件を公開し、不特定多数のお客様を物件へ案内する必要がありますので、どうしても近所に家を売却をしていることを知られやすくなります。
例えば、物件の売却を近所には秘密にしておきたい場合などは、買取の方が望ましいでしょう。
不動産の「買取」の3つのデメリット
売却価格は「仲介」よりも安くなる
買取で不動産を売却する場合、仲介よりも圧倒的なスピード感で現金化できますが、その反面、売却価格は仲介と比べると安くなりがちです。
その理由は、不動産会社が買取した後も何かしら不動産に手を加えて、再販をすることケースが多いからです。
リフォーム費用や解体費用などの経費と合わせて利益も取らないといけないため、再販価格からそれらを差し引いた金額が「買取価格」となりますので、どうしても市場価格を下回ることが多くなります。
売主からすると、不動産会社の「言い値」に感じるため、価格への納得感も薄くなりがちです。
「戸建」を買い取りできる会社は少ない
買取をする不動産会社は、再販をする目的を持って不動産を買い取ることが多いのですが、マンションと比べて戸建ては買取が難しく、買取をできる会社が限られてきます。
マンションは再販価格の予測がたてやすく、またリフォームも建物の構造躯体までは扱わないので工事予算の予測もたてやすいため、参入障壁が低く多数の業者が買取をできますが、戸建ては同じ住所でも道路の幅や向き、周辺環境、建物の状態などで再販価格が大きく変わります。
また、特に築年数が古い戸建ての場合は、目に見えないシロアリや雨漏りのリスクなども考慮しなければなりません。
そのため、戸建ての買取は相当の知識や経験値を有していないと再販価格や工事予算の予測がたてづらく、買取をできる不動産会社が限られてしまうのです。
買取できない物件もある
事故物件や再建築不可物件、環境的瑕疵がある物件など「訳あり物件」の場合、不動産会社によっては買取を検討できない場合もあります。
もちろん、そのような訳あり物件は仲介で売却したとしても、スムーズに売却できる可能性は低くなる可能性があります。
不動産の「買取」をオススメするケース4選
早く売りたい場合、手間をかけずに売りたい場合
買取の一番のメリットは現金化までのスピードです。
時間をかけず早く売りたい(=現金化を急ぐ)場合は、仲介よりも買取が向いています。
また、遠方にある相続不動産など、維持管理に相当な手間がかかる物件の場合も、早期売却が見込め売主の負担を軽減できる買取の方が向いています。
築年数が古い物件を売りたい場合
旧耐震物件など築年数が古い物件は、「物理的瑕疵」がある可能性が高く、買主にとっては通常のリフォーム費用以外にも、
- 耐震補強工事が必要となるリスク
- シロアリ被害の補修工事が必要となるリスク
- 雨漏り被害の補修工事が必要となるリスク
- 建物解体工事が必要となるリスク
などを考慮する必要がありますが、それらの工事費用がどの程度かかるかは予測が難しく、仲介では売却に時間がかかる場合がありますので、買取に向いています。
買取の場合、プロである不動産会社が物件を購入しますので、上記のような予算も折り込み済みでの買取価格を提示してくれますし、売主の契約不適合責任も免責となる特約が入りますので、安心です。
「物理的瑕疵」がある物件の売却については、別記事にて詳しく説明しています。
再建築不可物件や違反建築物件などを売りたい場合
再建築不可物件や違反建築物件、市街化調整区域内の物件など、「法的瑕疵」のある物件は仲介で売却しようとしても買主が住宅ローンを利用できず、売却の難易度が高い場合が多いため、買取に向いています。
買取の場合、プロである不動産会社が物件を購入しますので、上記のような瑕疵も折り込み済みでの買取価格を提示してくれますし、売主の契約不適合責任も免責となる特約が入りますので、安心です。
「法的瑕疵」がある物件の売却については、別記事にて詳しく説明しています。
事故物件などの訳あり物件を売りたい場合
心理的瑕疵がある「事故物件」や環境的瑕疵がある「訳あり物件」は、土地や建物など物件そのものには問題がないにもかかわらず、過去に起きた事件や物件周辺の環境が嫌悪感を感じる要因となるため、工事や清掃で解消できるものではなく、売主本人では根本的に解決できません。
仲介で売却しようとしても、それらの瑕疵を気にしない買主が見つかるまで相当な時間がかかる場合がありますので、買取に向いています。
買取の場合、プロである不動産会社が物件を購入しますので、上記のような瑕疵も折り込み済みでの買取価格を提示してくれますし、売主の契約不適合責任も免責となる特約が入りますので、安心です。
まとめ
不動産を売却するにあたり、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。その大きな違いは購入者です。
仲介とは、不動産会社が売主と買主の間に立つ「仲介役」となって不動産を売買する方法で、主に一般の個人が購入することが多いです。
買取は一般の個人ではなく、不動産会社が直接その物件を買い取ることになります。
不動産の買取には4つのメリットがあります。
- 早く確実に売却ができ、現金化しやすい
- 契約不適合責任が免責となる
- 仲介手数料がかからない
- 近所に知られることなく売却ができる
逆に、不動産の買取には3つのデメリットもあります。
- 売却価格は仲介よりも安くなる
- 「戸建」を買い取りできる会社は少ない
- 買取できない物件もある
最後に、不動産の買取をオススメするケースは4つあります。
- 早く売りたい場合、手間をかけずに売りたい場合
- 築年数が古い物件を売りたい場合
- 再建築不可物件や違反建築物件などを売りたい場合
- 事故物件などの訳あり物件を売りたい場合
「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」がある、いわゆる「訳あり物件」は、仮に仲介で売却することができたとしても、相場より安い価格でしか売却できない可能性がありますが、売却する際の様々な手間や負担、リスクを考えたときに、不動産買取専門業者に買取してもらうことが最も良い結果につながる可能性があります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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