親が亡くなり実家を相続したけど、住まないので売却したい・・・。
そう思いたって不動産屋さんに家の売却を依頼したいけど、「不動産一括査定サイト」って利用した方がいいの?
そんなお悩みを持つ方へ・・・「不動産買取専門会社」で約19年働いた「不動産買取」のプロである僕が、不動産一括査定サイトの問い合わせ案件を多数買取査定した経験をもとに、
- 不動産一括査定サイトとは
- 不動産一括査定サイトのデメリット4選
- 不動産一括査定サイトの2つのメリット
を、不動産買取専門業者目線で解説します!
不動産一括査定サイトは、個人的にはメリットよりもデメリットの方が大きいと考えますが、この記事を読んで頂ければ、メリット・デメリットの内容が分かり、あなたが不動産一括査定サイトを利用するべきかどうかがわかります。
不動産一括査定サイトとは
「不動産一括査定サイト」とは、売却したい不動産の情報を登録すると、サイトの運営会社から複数の不動産業者へその情報が送られ、まとめて数社から不動産の査定が受けられるというサービスを提供しているサイトです。
不動産一括査定サイトが登場する前は、不動産を売却したい場合、自分で不動産会社1社1社へ査定を依頼をする必要がありました。
現在は不動産一括査定サイトが20社以上もあり、無料で利用できるうえに一度の登録のみでまとめて数社に査定依頼をできる手軽さがあり、利用者が増えています。
不動産一括査定サイトの仕組み
不動産一括査定サイトは、要は不動産の売却希望者と不動産仲介業者をマッチングさせるサイトです。
査定をするのは一括査定サイトと提携している不動産仲介業者になり、一括査定サイト自身は査定自体には何ら関与せず、査定価格に責任も負いません。
一括査定サイトは3~10社へまとめて査定を依頼でき、6社同時というサイトが最も多いようです。
不動産の売却希望者が不動産一括査定サイトに不動産の情報を登録すると、提携する不動産会社へその情報が送られ、この時サイトの運営会社は情報を送った不動産会社から1社につき1~2万円の情報提供料を受け取ります。
不動産会社はその査定依頼から売買契約へつなげることが出来なければ、売り上げにならないうえに、さらに情報提供料を支払わなければなりません。
その反面、不動産一括査定サイトの運営会社は、仮に6社同時査定の場合1件の査定依頼だけで、仮に情報提供料を1社1万円とすると6万円、1社2万円とすると12万円の売り上げとなるわけです。
依頼者の物件が実際に売却できたかどうかは、サイトの運営会社の売り上げには一切関係がありません!
査定方法の種類
不動産の査定には「机上(簡易)査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上(簡易)査定
査定依頼時に入力した不動産のデータを基に、概算での査定価格を算出する方法を「机上(簡易)査定」といいます。
業者を現地に招かずに査定ができ手軽な反面、あくまで概算の査定額となるため、実際に売却する場合には「訪問査定」を依頼する必要があります。
まだ売却を検討段階の方や、すぐに大体の査定額だけ知りたい方に向いている査定方法といえます。
訪問査定
不動産会社が実際に不動産を訪問し、土地や建物の状況や周辺環境等をチェックして、総合的な判断で査定価格を算出する方法を訪問査定といいます。
時間をつくって不動産業者を現地に招く必要があり、査定書の提出まで数日要する場合がある反面、修繕履歴などの個別事情を直接アピールでき、それを考慮した査定価格を出してもらえる可能性があります。
ある程度具体的な査定価格を出してもらえる査定方法ですが、時間や手間を要します。
不動産一括査定サイトのデメリット4選
不動産一括査定サイトは、個人的にはメリットよりもデメリットの方が大きいと考えますので、先にデメリットの方から説明します。
複数の不動産会社から電話営業や訪問営業をされる
不動産一括査定サイトに提携する不動産会社は、自身で売主を探す手間を省くため、費用を払って不動産一括査定サイトに提携していると言えます。
つまり、査定依頼は不動産会社にとって営業活動のスタートとなります。
例えば6社同時に査定依頼をできるサイトを利用した場合、その6社は顧客獲得のため、競って営業電話や訪問営業をかけてきます。
その営業活動のタイミングは基本的に依頼者の都合は考慮されず、不動産会社の都合によって行われます。不動産会社は売買契約を締結して初めて利益になりますので、必死です。
それらの不動産会社を同時に対応しながら、最終的には売却にあたりその中から1社を選択しなければなりません。
僕の経験上、複数の不動産会社から入れ代わり立ち代わり営業電話がかかってくることはストレスに感じる方が多いように思います。
高すぎる査定額を提示される可能性がある
売買契約を締結しないと利益にならない不動産会社ですが、売買契約の前に売主と「媒介契約」を締結する必要があります。媒介契約とは、「御社に販売活動をお願いします」という契約です。
媒介契約については、別記事にて詳しく説明しています。
この媒介契約を取りたいために、相場よりも高すぎる査定額を提示して、競合他社を出し抜こうとする不動産会社がいることも事実です。
「査定額=売却額」ではありません。
あくまで買い手がついた時点での金額が売却額となります。相場より高すぎる販売価格を提示しても、結局売れ残り、値下げをする羽目になる可能性が高くなります。
高く査定してもらうことよりも、現実的な価格で販売し確実に売却してもらうことが重要です。
提携している不動産会社の査定しか受けられない
不動産一括査定サイトは現在20社以上もありますが、それぞれのサイトで提携している不動産会社が異なります。当然ながら、一括査定はそのサイトと提携している不動産会社にしか依頼できません。
日本には12万社以上の不動産会社がありますが、最も提携会社数が多い一括査定サイトでも提携会社数は約3,700社で全体の3%程度でしかなく、一括査定サイトを通して依頼できる不動産会社はどうしても限られてしまいます。
郊外の物件や訳あり物件は査定してもらえない場合がある
次のような場合は、地域や条件に精通しておらず適正な査定額を出してもらえない可能性や、査定自体をしてもらえない可能性があります。
- 地方の郊外の物件など、その地域に対応している提携会社がいない場合
- 再建築不可物件など、売りづらい「訳あり物件」の場合
訳あり物件については、別記事にて詳しく説明しています。
不動産一括査定サイトの2つのメリット
複数の会社に査定依頼をする手間を省ける
不動産一括査定サイトを利用する最大のメリットが、複数の会社への査定依頼をまとめてできる手軽さです。1社1社自分の足で不動産会社をまわり、何度も同じ個人情報や要望などを伝えるという手間を省くことができます。
売却の相場感を把握しやすい
不動産売却はその種類や地域、条件などにより、不動産会社によって実績やノウハウが異なる影響を受け、査定額に差が出る場合があります。
1社だけしか査定を受けていないと、その査定額が相場なのかどうか判断がつきませんが、不動産一括査定サイトを利用すると一度に数社の査定額を確認できるため、
「最低でも▲万円、最高で●万円」という風に、その不動産の相場感を確認することができます。
ただし前述したように「査定額=売却額」ではないことや、自社を選んでもらうために相場よりも高すぎる査定額を提示する不動産会社がいることには注意が必要です。
まとめ
「不動産一括査定サイト」とは、売却したい不動産の情報を登録すると、まとめて数社から不動産の査定が受けられるというサービスを提供しているサイトです。
無料で利用できるうえに一度の登録のみでまとめて数社に査定依頼をできる手軽さがあり、利用者が増えています。3~10社へまとめて査定を依頼することができ、6社同時というサイトが最も多いようです。
しかし、査定をするのは一括査定サイトと提携している不動産仲介業者になり、一括査定サイトは査定自体には何ら関与せず、査定価格に責任も負いません。
不動産の査定には「机上(簡易)査定」と「訪問査定」の2種類があります。
不動産一括査定サイトのメリットは2つあります。
- 複数の会社に査定依頼をする手間を省ける
- 売却の相場感を把握しやすい
反対に、不動産一括査定サイトのデメリットは4つ考えられます。
- 複数の不動産会社から電話営業や訪問営業をされる
- 高すぎる査定額を提示される可能性がある
- 提携している不動産会社の査定しか受けられない
- 郊外の物件や訳あり物件は査定してもらえない場合がある
一度に複数の不動産会社に査定依頼をできることは、サイト利用者にとっては手軽ですが、提携している不動産会社からすると競争です。
不動産会社は査定依頼だけでは利益にはならず、不動産を売却できて初めて報酬をもらうことができるので、必死に営業をしてきます。
それが時に、競合他社を制して媒介契約を取るために、相場より高すぎる査定額を提示する会社が現れてしまう理由です。
「査定額=売却額」ではありません。あくまで買い手がついた時点での金額が売却額となります。そのことを十分理解したうえで、不動産一括査定サイトを利用することをオススメします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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