今年75歳になる僕の両親は、社員が両親2人のみの超零細企業を経営していますが、最近「疲れた、もう会社をたたみたい」と言うようになりました。
M&Aなども検討、相談したみたいですが具体的な話にはならず、おまけに事業資金の借り入れを返済をする資金もないまま、今でも老体に鞭打って働いている状況です。
ここは長男である僕が親孝行をするべきタイミングなのかな、と考えるようになり、今まで務めた不動産会社を退職し、畑違いの業界へ飛び込みました。
ですが、今まではサラリーマンだった僕は事業承継のことを何も知らないため、先日、初めて商工会議所の「事業承継・引継ぎ支援センター」というところへ事業承継について相談に行きました。
これから事業承継について色々学んでいくことがあると思いますので、このブログに記録していこうと思います。
事業承継問題の背景
「事業承継」とは、「現経営者から後継者へ事業のバトンタッチを行うこと」、つまり、「企業(現経営者)の熱い思いや技術を次の世代へつなぐこと」です。
中小企業庁のデータによると、日本企業のうち99%を占める中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、現在、経営者年齢のボリュームゾーンは60~70代となっています。さらに後継者不在率は70代の経営者でも30%を超えており、休廃業・解散件数が40,000件を超えるなか、その約60%が黒字での休廃業・解散、さらにその廃業理由の約30%が後継者難によるものだそうです。
中小企業経営者の高齢化と後継者不足が深刻な問題であり、このままでは日本経済を支える中小企業の雇用や技術の喪失といった可能性もあることから、事業承継がより一層重要さを増しています。
事業承継の構成要素
事業承継は、企業がこれまで培ってきた人(経営)、物・金(資産)、知的資産の各要素を後継者に上手に引き継ぐことが重要です。
- 人(経営)→経営権、後継者の選定、育成など
- 物・金(資産)→自社株式、事業用資産(設備、不動産など)、資金(運転資金、借入など)
- 知的資産→経営理念、経営者の信用、ノウハウ、技術、取引先との人脈、顧客情報、許認可など
特に、目に見えにくいですが企業の強みの源泉となる「知的資産」を承継するには、現経営者と後継者が対話により共同で「知的資産の棚卸し」に取り組み、自社の強み、弱みを把握する必要があります。
そのためには知的資産の「見える化」により現経営者と後継者間で認識を共有することが重要であり、この過程を通じて経営理念や仕事へのこだわりといった「経営の承継」がなされます。
事業承継の種類
事業承継は誰に企業(経営)を承継させるかによって、3つの種類に分けられます。
親族内承継
現経営者の子をはじめとした親族に承継する方法です。
メリット
一般的に従業員や取引先から心情的に受け入れられやすいことが挙げられます。さらに他の承継方法と比べて長期間の準備期間確保がしやすく、相続・贈与とからめて財産・株式の後継者移転が可能といった背景から所有と経営の一体的な承継が期待でき、税法上で他の承継方法よりも有利になる可能性もあります。
デメリット
親族内承継のデメリットは、必ずしも親族内に経営能力や意欲があり後継者にふさわしい者がいるとは限らないことです。経営者の器がない者が後継者になってしまうと、従業員や取引先の反感を買うことになりかねません。
また、相続人が複数いる場合、親族内トラブルにも気をつけなければならない場合があり、後継者の決定や経営権の集中が困難なことがあります。
従業員承継
信頼できる役員や従業員に経営を引き継ぐ方法です。
メリット
親族内に後継者(にふさわしい人)がいない場合でも、経営者能力のある人材を見極めて後継者を選ぶことができます。また、実務上の引継ぎがスムーズで経営方針等の一貫性も期待でき、他の従業員からの理解も得やすくなります。
デメリット
親族内承継と比べると関係者から心情的に受け入れられにくい場合があり、他の従業員との関係性の変化を気にして後継者に辞退されるリスクや、複数の後継者候補がいる場合に派閥争いや最終的に選ばれなかった候補者が離職してしまうリスクがあります。
また、後継者候補に株式取得等の資金力がない場合や、個人債務保証の引継ぎが難しいなどの資金的な問題が生じることもあります。
M&Aによる承継
広く第三者から後継者にふさわしい人物(企業)を探し経営を引き継ぐ方法です。
メリット
親族や社内に適任者がいない場合でも広く候補者を求めることができ、さらに現経営者が株式(事業)売却の利益を得ることができます。
デメリット
従業員の雇用や売却価格などの希望条件を満たすことができない可能性があります。
まとめ
「事業承継」とは、「現経営者から後継者へ事業のバトンタッチを行うこと」、つまり、「企業(現経営者)の熱い思いや技術を次の世代へつなぐこと」ですが、企業がこれまで培ってきた人(経営)、物・金(資産)、知的資産の各要素を後継者に上手に引き継ぐことが重要です。
特に、目に見えにくいですが企業の強みの源泉となる「知的資産」の「見える化」により現経営者と後継者間で認識を共有することで、経営理念や仕事へのこだわりといった「経営の承継」がなされます。
事業承継は誰に企業(経営)を承継させるかによって、3つの種類に分けられます。
- 親族内承継
- 従業員承継
- M&Aによる承継
今回の僕のケースでは「親族内承継」となりますので、次回からは「親族内承継」について詳しく学んでいこうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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